視覚障害者の方々は、目が見えないためにさまざまな不自由を経験しています。
たとえば、外出を考えてみても、いったいどっちの方向へ歩いていけばよいのか、どこに目的地があるかわからず、案内板や表示が出ていたとしてもそれを見ることができないし、たとえ点字の案内板があったとしても、その案内板を見つけることができません。 「歩行訓練」を通して、知らない場所でも、周囲の人へ協力を依頼して歩けるよう指導を受けていますが、援助を依頼したくても、その相手を見つけるのが一苦労なのです。 そんな時、周囲の人から積極的に声をかけていただけなら、視覚障害者の方にとってはどれほど安心でき、助かるかわかりません。声掛けとともに安全に、また適切な誘導介助がしていただけたならどんなにうれしいことでしょう。 視覚障害者の方を見かけたら
一人歩きをしている視覚障害者を見るとすぐに手を貸そうとする人がいます。これは、あまりよいことではありません。必ず、「何かお手伝いすることがありますか?」と一言たずねて、視覚障害者の方が望まれることを介助してください。
初めて会った時には
視覚障害者の方に初めて会った時には、軽く握手をしてください。握手されると相手に対し親近感が持てるとともに、相手がどの方向にいるか、背の高さがどのくらいかなどわかり、検討違いの方向に向いて話しかけるような失敗が避けられます。
なお、その際、「はじめまして。私の名前は○○です。」と声をかけてほしいものです。 介助するときには
手引きする人は、手引きする腕を自然に下げて、視覚障害者より必ず半歩前に立ち、手引きの腕のひじを 軽く視覚障害者に持ってもらいます。手引きする人は、必要以上に緊張したり、腕に力を入れすぎたりしないで、軽く一緒に歩くという気持ちで、自然に歩いてください。 また、人によっては肩を持って手引きしてもらう方がよい方もおられますので、よく聞いてから手引きを始めてください。 間違った手引き方法 手引きする人が後ろから抱きかかえたり、視覚障害者のほうのひじを持ったりする方法は、視覚障害者にとって、体の自由がきかず、また視覚障害者のほうが手引き者より前に立つ形となり、前に何があるのかわからず、非常に不安感を持たせてしまいます。 白杖を持っている手を持ってしまうと、せっかくの大切な白杖の役割を封じてしまいます。絶対にしないようにお願いします。 道などを尋ねられた時は
道や行き場所を尋ねられた時、「あっち」とか「こっち」とか「すぐそこ」などといった言葉で教えたり、東西南北で教える人がいますが、これは非常に困ります。このような教え方では、目が見えない視覚障害者には何の手助けにもなりません。
立っている所を基点として、「まっすぐ○○メートルくらい行き、パチンコ屋の角を曲がった左手にあります。などというように具体的に教えてあげてください。また、音や匂いのある目標物があれば知らせてあげてください。 物の位置はどのようにして
物の位置を尋ねられた時、「そこにあります。」などと教えられてもわかりません。こんな時は、時計の針の位置で教えてあげます。 たとえば、「12時のところにお茶が、3時のところにみそ汁が、6時のところにご飯があります。」などと説明してください。 椅子をすすめる場合は
視覚障害者の方が椅子にかけようとすると、後ろから両肩を押さえるようにしたり、腕を抱えるようにしてくれる人がありますが、これは非常に不安定で困った手引きです。
視覚障害者の手を、ちょっと椅子の背もたれと座席に、また、前にあるテーブルなどに触らせてあげるだけでよいのです。 階段の上り降りの場合は
階段や段差のあるところでは、その手前で立ち止まり、「階段です。」「これから上がります。」「これから降ります。」「階段、終わりました。」などと声をかけて手引きを進めてください。なお、手摺がある時は、それに触らせてあげながら手引きをしてくださると非常に安心できます。
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